事例名
ファジィインテリジェントエレベータシステム
企業・団体名
東芝
出展
日刊工業新聞 1989年
内容
東芝(社長青井舒一氏)は、AI(人工知能)手法により待ち時間の短縮を可能にしたインテリジェントエレベータシステム「Command-AI」を開発した。エレベータの運行管理に、ファジィ理論による予測制御方式や、各階からの「呼び」の発生に最適なエレベータの割り当てを行うエキスパートシステムを採用、従来システムと比べて平均待ち時間を10%、長時間待ち率(1分以上エレベータを待つ確率)をそれぞれ30%減らした。エレベータの速度が毎分 120m以上で、最大8台のエレベータを一群として管理できるので、大規模な事務所ビルやホテルでの設置に適している。このシステムは、ファジィ理論を用いて、各エレベータが「乗り場呼び」に対して到着するまでにかかる時間を予測する際に、途中で新たに複数の「呼び」が発生する場合などを想定し、最短と最長の到達時間を計算して予測時間に幅を持たせ、実際の運行結果と予測時間との誤差を最小限にしている。また、発生した「乗り場呼び」に対して最適なエレベータを割り当てるために、同社が長年行ってきた群管理制御のデータをもとに、詳細なルールを作成することで開発したエキスパートシステムを採用。このエキスパートシステムと、ファジィ理論による予測制御方式との相乗効果により、エレベータの高精度な運行管理を実現した。