事例名
次世代ファジィ技術応用金型条件自動設定モジュール
企業・団体名
オムロン
出展
日刊工業新聞 1994年
内容
金型の最適加工条件 次世代ファジィで設定 高難度もクリア オムロンがソフト オムロン(社長立石義雄氏)は次世代ファジィ技術を応用することによって、最適な加工条件を自動設定できるソフト「金型加工条件自動設定モジュール」を開発した。従来のCAMソフトに比べて、オペレーターの加工条件設定工数を半減できるうえ、専門技術者でなければ難しかった条件設定を容易にする。社内システムに組み込んで利用するほか、CAD/CAMシステムの開発メーカー向けに提供していく。今回開発したモジュールは工具データベース(DB)と材料DB、知識ベース、推論実行プログラムからなる。工具DBや材質DB、知識ベースには主要な加工工具と金型材質のデータとオムロン社内の金型加工ノウハウが登録されている。モジュールにCADで設計した加工形状や寸法、加工精度、金型材質などのデータを入力する。データに沿って推論実行プログラムが工具DBや材質DBを参考にしながら知識ペースに登録されている金型加工ノウハウに従って、使用する工具と回転数や送り速度などの加工条件を決めて、CAMや自動プログラミングに出力する。人間の手を借りずに、目的達成のため最適な条件を自ら判断する次世代ファジィ技術によって効率化を実現した。同社の樹脂成型用金型CAM用ソフトにこのモジュールを追加した実証テストでは、材質や削りの深さなど数10種類の組み合わせが考えられる平面方向送り速度係数など、20加工条件中、高難度な14条件を専門技術者水準で自動設定できたという。また「材料が軟らかい時は送り速度を上げて回転数を下げる」といったファジィ方式によって専門技術者ノウハウを追加登録できるため、技能の共有や技能伝承が可能となる。市販のソフトに追加できることから、CAD/CAMシステムメーカーや工作機械、金型加工メーカー向けに実施権を与える形で提供する。自動車や家電業界向けの樹脂成型用金型CAMは年間200億円市場と言われており、熟練者不足や加工の高精度化の進展に従って、今後も需要の拡大が見込まれている。