事例名
ファジィ制御の無人ヘリ
企業・団体名
東京工業大学
出展
日刊工業新聞 1993年
内容
ファジー制御の無人ヘリ 東工大菅野教授ら開発 簡単な指示で飛行 東京工業大学の菅野道夫教授らの研究グループは、地上から「前進」「右旋回」など簡単な指示をするだけで自動的に飛行する無人ヘリコプターを開発、飛行実験に成功した。ヘリコプターにファジー理論を利用した制御システムを搭載しており、これが人間のパイロットと同じように複雑な操縦をこなす。この成果は科学技術庁の科学技術振興調整費の助成を受けて開発した。搭載したファジー制御システムには熟練パイロットがヘリコプターを操縦する技能や知識をコンピューターのプログラムにして組み込んである。ファジー理論はこうした技能や知識をコンピューター上で様々なルールの形に変え、高速制御するのに適している。指示はヘリコプターが見える位置から地上のコンピューターに入力、無線でヘリコプターに送信する。離陸、着陸、前進、後進、ホバリング(空中停止)、急停止など12種類の飛行指示から選ぶだけなので、操縦法を知らない素人でも簡単に動かせる。ヘリコプター側では、前後、上下の速度や加速度、回転翼の回転角や角速度など13の数値を計測、各飛行指示は約60のルールを使い、主回転翼の傾斜角度の変更やエンジン回転数の変更などヘリコプター操縦に必要な情報を100分の3砂ごとに計算する。ヘリコプターは、例えば前進速度を上げていくと高度が下がり、コースも横にずれるなど飛行特性が複雑で、同時にいくつもの操作を求められる。また、操縦と実際の動きに時間遅れがあったり、風向きなど周囲環境との釣り合いも常に取る必要があるなど操縦は難しい。