掲載日:2001年3月14日
最終更新日:2001/03/14
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研究会・支部例会報告



日本ファジィ・コンピューティング研究部会 第12回ワークショップ
『第12回 言いたい放題の合宿研究会』
-印象工学との接点を求めて-

日時:2000年12月8日(金) 〜 9日(土)
場所:関西大学 100周年記念セミナーハウス 高岳館
参加:22人(企業 3名、大学・研究機関 8名、学生 11名)

講演内容:

12月8日

オープニング 馬野 元秀 (大阪府立大学)

一般講演   司会:荒井 良典(東京工芸大学)

講演1: 自己組織化マップを用いた抽象名詞『の』の解析の一考察
車井 登(鳥取大学 工学部)
 自然言語解析の過程で日本語の抽象名詞「の」の曖昧性が問題になっている。
「の」においては他の抽象名詞と交替する交替現象が観察されている。この現象
を利用すると「の」を一段階具体的な抽象名詞と置き換えることができるが、ど
のような物と交替可能であるかを解析する必要がある。そこで、解析の一手段と
して自己組織化マップ(SOM)を用いる事が提案された。SOMの学習に用いる距離
として、ユークリッド距離の代りにシソーラス間の距離を利用することで、意味
を考慮に入れたマップを形成させている。これにより交替現象の解析に良好な結
果が得られることが報告された。

講演2: 知識表現を変化させる学習について
松本 裕二(大阪府立大学大学院 総合科学研究科)
 人間が学習を行う際、人ははじめから知識を持っている訳ではなく、与えられ
たデータの量によって少しずつ知識を作り上げていく。これは計算機の知識獲得
方法とは大きく異なっている。そこで計算機に複数の知識表現を用意し柔軟に知
識を獲得する方法についての報告が行われた。この方法は、推論を行うルールの
生成法と推論法をあわせて知識表現としそれを複数用意しておく。そして、与え
られた状況に知識表現が適応できなくなった時、異なった知識表現に切り替えて
いくことで、学習と推論を行うようにしたものである。この方法により知識を獲
得できる事が報告された。

講演3: フラクタル次元を用いたレーダー雨量の予測
田上 玲央(関西大学 総合情報学部)
 都市部では大雨による被害がでやすいため、降雨強度を予想し今後の状況をよ
り正確に予想することが求められている。ここでは、その予想方法の一つとして
フラクタル次元を用いて過去の降雨パターンのなかから類似したものを抽出し、
変化パターンの相関係数を求め、もっとも類似したものを選ぶことで、未来の雨
量が予測できるのではないかという提案がされ、その実験結果が報告された。

一般講演   司会:三好 力(鳥取大学)

講演4: 移動ロボットにおける直接知覚と行動
能島 祐介(大阪工業大学大学院 総合科学研究科)
 ロボットが環境からの情報をどのように知覚し、行動を行うかが問題とされて
いる。そこで認知プロセスの解明と具現化を目的とした研究が行われ、認知心理
学や脳科学が取り入れられている。そのなかに、生態心理学においてJ.J.Givson
によって提案されたアフォーダンス理論がある。これは、環境からの情報を観測
者が一度内部状態に変換して行動しているのではなく、環境の性質であるアフォ
ーダンスを観測者は直接知覚して行動していると考えるものである。今回はロボ
ットの内部状態における知覚と行動の関係をアフォーダンスとして解釈できる例
が報告された。

特別講演   司会:野村 竜也(阪南大学)

「印象の工学」が目指すもの
大澤 光 (富士通)
 「印象の工学」の目指すものは、人が感じる印象を工学的に応用し、印象を扱
う仕事の成果の品質とプロセスの向上をはかることである。そのなかで印象の計
測の重要性、特に何について計るかを明確にしておかなければ計る事に意味がな
いといったことや、現在印象を計る方法の主なものであるSD法の限界と新しい計
測手法などについての講演がおこなわれた。また講演者の著書の紹介や、講演者
が製作したというウェブ上でのストリーミングによるアニメーションが上映され
た。

懇親会・討論会
 活発で熱のこもった議論が繰り広げられ、中には明け方まで討論をしているグ
ループもあった。報告者もはじめての参加であるが、議論に参加する事ができ大
変有意義な時間を過ごすことができた。

12月9日

一般講演   司会:林 勲(阪南大学)

講演5: パラメトリック包含関係による必然性測度の選定
乾口 雅弘(大阪大学)
 ファジィ理論において必然性測度を求める必要がある場合がある。その場合に
おいて、必然性測度は、包含関数によって定義されるが包含関数について詳しく
述べる事は難しい。そこで、必然性測度は包含関係と深い関係があるため、パラ
メトリック包含関係を用いる事で必然性測度を求める方法の発表が行われた。

講演6: GAとシミュレーションを用いた地下街非難口の最適配置
光高 賢武(関西大学総合情報学部M1)
 地下街の非難口の配置には建築基準法などさまざまな制約があるが、最終的に
は人によって決定される。その時、配置場所の有効性が証明されにくいといった
問題や、配置場所に関して解の組み合わせが膨大で最適な配置の決定が難しいと
いった問題がある。そこで、その配置について比較的短時間で近似解を求める一
手法として遺伝的アルゴリズムを用い、その評価関数の限界をシミュレーション
によって補うことで、有効性をダイレクトに証明し、短時間で最適配置をもとめ
ようとする研究の報告が行われた。

一般講演   司会:乾口 雅弘(大阪大学)

講演7: 幾何図形におけるアナロジーへのファジィ理論の応用
鳴門 雅之(大阪府立大学大学院 総合科学研究科 数理・情報科学専攻)
 アナロジーとは類推のことで、情報が少なく演繹では推測できそうも無いとき、
それに類似した既知の領域の知識を用いて人間が行う推論のことである。これは、
人間が発想を得るのにも重要な役割を果たしている。これを機械化するのは難し
いがそれを実現する研究が行われている。そのなかでも、幾何図形におけるアナ
ロジーの問題について今回ファジィ理論を応用した。この研究では、幾何図形の
座標と形についてファジィ集合、位置関係の類似の決定にファジィルールを用い
ることで、従来のフレーム階層構造ではうまく表現できなかったものに対しても
適応できるようにしようとしていた。実験を行った結果、一部では上手くいく事
が報告された。

講演8: TAM Networkのルール抽出法と視覚心理実験への試み
林 勲(阪南大学 経営情報学部)
 視覚系をモデル化したニューラルネットワークの一つであるTAM Networkは、
カテゴリー・ノードの自己増加によりパターンデータに対して高精度の認識がで
きる。しかし、ノードの増加は正のみに限定されているので学習データに対して
過剰学習となり有用な結果を導出できない場合がある。そこで、それを防ぐプル
ーニングを行うための新しいルールの提案と従来手法との比較した結果良好な結
果が得られたという発表があった。また、視覚心理実験への試みとして、窓枠問
題についてのTAM Networkへの適用実験についての結果も示され、会場で実際に
窓枠問題についての実演が行われた。

クロージング   前田 陽一郎(大阪電気通信大学)

報告:河相 英典(鳥取大学)
   三好 力(鳥取大学)




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